CANVAS

2017.12.15
英国でのコンピュータサイエンス教育の今とは?必修化3年後の状況と日本のこれからの「プログラミング教育」を考える

ロンドンの大学に留学し、コンピュータ教育を研究している鵜飼さんをお招きして、イングランドのプログラミング教育の実態についてお話を伺いました。

イギリスでは2014年9月よりComputingの授業が必修となり5歳~14歳の子どもたちが全員プログラミングを学んでいます。
導入から3年。成果は?課題は?3年間の取組を総括するレポートが出ました。
https://royalsociety.org/topics-poli…/…/computing-education/

鵜飼さんからのこのレポートの報告を踏まえて、対談。
私は質問役をしていたのでメモをとっておらず、後日メディアの方が網羅的にまとめてくださると思いますので、下記は私の記憶に基づいた私のためのメモです^^;

昨日の資料を公開してもらったのでこちらも。
https://www.slideshare.net/ukaiyu/ss-84121430

■総論
・Computingの導入目的はコンピュテーショナルシンキングとクリエイティビティを用いて世界を変革する力を育むこと。
 日本と導入目的は概ね同じであるが、英国はコンピューティングという教科を設け、コンピュータサイエンス、情報技術、デジタルリテラシーを総合的に学ぶ。実態は8割がCSであり、CSに偏りすぎという批判もある。
・導入に当たっての世論は?→computing導入前にアプリケーション操作スキルに重点を置いた教科「ICT」があり、ICTの評判が悪かったため、Computingへの反対はさほど大きくない。授業時間数もICTの置き換えに過ぎないため、他の科
目へは影響はない。
・Comutingに週1時間割り当てられているが実態は?→レポートに記されていないが、実態はあまり導入が進んでいない。時間数も学校の裁量に任されており、全く取り組んでいない学校もある。

■必修化の経緯。
・2008年に産官学連携でコンピューティング教育を推進するCAS設立。CSの必修化の中核的役割を果たす。Sue女史が設立から今に至るまで先導。
・エリックシュミット氏の「英国のコンピューティング教育はソフトウェアを使う方向に偏りすぎており、どうやって作られているかを教えていない」という言葉が大きく響き、Royal SocietyがCS教育復権の提言をだす。
*CANVASはCASをずっと意識しており、日本におけるプログラミング教育のプラットフォームを構築すべく活動内容を検討してきました。そして、エリック・シュミット氏と一緒に共同記者会見をしてPEGをスタート。その際のエリックさんの言葉は「日本はソフトウェアの分野ではリーダーにはなれていない。10代からプログラミングを始めること、コンピュータ科学に触れる機会を増やすことが変化の第一歩になる」でした。

■授業・教材等
・体系的に整理された教材や授業案はあるのか?→教材会社が複数だしている。一番人気はRising StarsのSwitched on Computing。鵜飼さんの同僚の評価では
「How to Teach Primary Programming Using Scratch(UBP)」が一番良くできて
いるとのこと。
・使用言語は、小学校ではスクラッチ38%。中学校ではPython21%、スクラッチ19%。
・100万台配布されたMicrobitは使われていない。
・CAS等が用意している掲示板で先生方の授業案の共有は積極的に行われている。

■評価
・知識やスキル寄りの評価となっている。態度等の評価はなかなか難しい。
・CS教育の研究者もあまり多くないことも課題。

■外部連携
・授業において企業・団体等外部組織との連携は行われていない。しかし企業訪問等はある。
・地域を巻き込んだ学校づくりを行う土壌はある。
・62%の小学校と、77%の中学校でComputingに関する課外活動が行われている。そのうち80%の小学校、77%の中学校では、毎週放課後コンピューティングクラブが運営されている。
 *総務省の地域IoTクラブの出番ですね!

■3年の総括
・英国でのプログラミング教育はつぎはぎで脆弱であると指摘されている。
・それを指し示すデータの一つとして、日本でいうセンター試験にあたるGCSEにおいてComputingを選択する学生は11%と少なかったことが挙げられる。理由の1位は「興味がない」。
・その他、性別間格差、教員不足、教員サポート不足、研究に基づいた政策立案不足が指摘されている。
・特に教員不足、教員育成講座等の支援不足が大きい。

■今後の展開
・上記レポート発表後、英国政府は約150億円をComputingの教員養成に投資すると発表。
 *日本の金額とのギャップが・・・・

鵜飼さん、貴重なお話をありがとうございました!
龍治さんはじめマイクロソフトの皆様、急な企画へのご対応ありがとうございました!
CANVASのみんな、昨日もおつかれさまでした♡