超教育協会

2020.09.18
オンラインシンポ開催報告「光村図書に聞く~ポストコロナ教育時代のデジタル教科書が拓く新たな学びの世界」

昨日の超教育オンラインランチシンポでは光村図書の黒川さんと森下さんに「ポストコロナ教育時代のデジタル教科書が拓く新しい学びの世界」についてお話し頂きました。

GIGAスクール構想のキラーコンテンツであるデジタル教科書のお話ということでいつも以上にたくさんの申し込みがありました。教科書のあり方が授業に大きな影響を与えるわけですが、主体的・対話的で深い学びを実現するためのデジタル教科書の様々な工夫についてお話を伺いました。

デジタル教科書の自由に編集できる機能を活用すると自分だけのMy教科書をつくることができます。自ら考えたことを容易に可視化することができ、それをもとにグループで画面を共有して話し合ったり、電子黒板に投影して発表したりすることも可能となる。個別学習にも協同学習にも一斉学習にも使えるように設計されているわけです。実際、デジタル教科書を活用した授業では、自分の考えをアウトプットしたり、他者と対話する時間が増え、先生が話す時間が減っているそうです。

また、紙の教科書だけでは学習が困難だった児童生徒も含めて誰もが学びやすい教科書というのも大きな特徴の1つとして掲げています。大事なのは「いつでもどこでも」「だれでも」「つながる」ということ。しかし、学習者用デジタル教科書の発行比率は小中学校ともに94%を超えているものの、本年度はなかなか導入が進んでいないという実態もあります。

その一方で、臨時休業により、教科書のデジタルデータが欲しいという声がたくさん届き、対応に追われたそうです。コロナ禍でわかったことは、・1人1台端末とネットワーク+デジタル化された教科書・教材が必要・今後は対面+個別学習・家庭学習との組み合わせが重要・学習様式を移行し個別最適化された学びに取り組むチャンスとのこと。いま文科省でもデジタル教科書の位置づけについて改めて検討されていますが、デジタル教科書普及促進に向けた課題として「自治体・学校・家庭への周知」、「環境整備」、「予算あるいは公的支援」の3点を指摘されていました。特に資金確保は大事ですね。

デジタル教科書の今後としては、デジタル教材さらには多様なデジタルコンテンツとの連携を強化するとともに、将来的には学習ログの収集・解析・活用するところまで見据えていらっしゃいます。「デジタル教科書・教材で新たな学習様式をスタートさせる。公教育における大きな変容の第一歩。」というとても心強い言葉を頂きました。来週のオンラインシンポでは、学習者用デジタル教科書の肝でもあるデジタル教材・多様なデジタルコンテンツとの連携について議論できればと思います。

黒川さん、森下さん、ありがとうございました。