デジタル教科書
- 2018.03.16
- DiTT勉強会 3省のご登壇
DiTT勉強会にて、文科省・梅村情報教育課長、総務省・犬童情報流通振興課長、経産省・伊藤産業人材政策室参事官にご登壇頂き議論しました。
本年度はさんざんお世話になったお三方ですが、3省の責任者が揃って登壇するのは珍しいとのこと。
文科省梅村課長は「2020年度から実施する新学習指導要領を踏まえた教育の情報化の推進について」講演。第2期教育振興基本計画ではPCは3.6人に1台を目標とし、単年度1678億円の地方財政措置を4年間講じた。現状では5.9人に1台。整備状況の地域間格差が顕著化している。目標を達成したのは佐賀県のみ。6割の自治体は整備計画策定の予定がない。第3期教育振興基本計画では、2022年度までに3クラスに1クラス分整備を目標にする。1日1授業分程度を当面の目安とした上で目標を設定。その他ネット接続率100%、ICT支援員を4校に1人配置等を目標として設定。そのために単年度1805億円の地方財政措置を講じる。プログラミング教育に関しては、3月末を目途に小学校プログラミング教育指針を発表。2018年度は主に指導事例の創出等に力を注ぐ。
総務省犬童課長は「これからのIoT、AI等の時代を見据えた人づくり」について講演。意欲・興味関心を高めるICT教育、未来の起業家育成等を目指し、全世代で学び合う仕組みの構築を行う。特に地域におけるIoTの学びの推進事業に力を入れ、企業や地域住民による学習機会の手法を確立し、先端IoT人材の育成を促進する。それが結果として地域創生につながることを期待する。農業、医療、教育はICT化に遅れをとる分野と指摘されるが、農業は何もなかったことがプラスに転じ一気に進んでいるが、中途半端に導入されている教育と医療が大変とのこと。
2005年にCANVASはUNESCO等に協力頂き、NTTドコモと一緒に、子どもがケータイを活用して4コママンガをつくるワークショップを実施したのですが、その時に犬童課長はフランス大使館書記官でした。その時のことを語ってくださり、民間が主導している分野であることを強調されていました。
経産省伊藤参事官は「『AI時代/人生100年時代』の学びと社会人基礎力について」講演。政府はいま人材に力をいれている。人口減少と急激な産業構造の変化が働き方と学び方に大きな変化をもたらす。プログラミング教育必修化は経産省産業構造審議会での議論が発端となり、そこから文科省へという話。私も委員として参加し、もちろんプログラミング教育必修化を訴えましたが、白熱した議論であったと記憶しています。AIが人間の雇用を奪う議論があるが、「AI vs 人間」ではなく、「AIを活用できる人材vs AIを活用できない人材」であり、教育・人材投資が重要である。人生100年時代においては、学ぶと働くが一体化し、生涯にわたり学ぶ力が重要。第4時産業革命に対応するには、チャレンジ精神や多様性・異文化理解といったマインド、創造性・問題発見/解決などの基幹能力、母語・英語・ITリテラシー、そして専門知識が重要であると整理。これからは昭和的すごろく型人生を脱却し、GPS型人生が大事。
その後、お三方と議論しました。私から主に投げかけたのは3点。
1.学校教育法等改正案及び超党派の教育情報化法案を踏まえて、今後の展望は?(日本は教育情報化先進国になれるのか?)
文科省:デジタル教科書制度化が進みつつあるが、超党派議連はさらにその先の世界を提示しており、そこを目指したい。自治体は対応せざるを得ない状況になるのでサポートしたい。首長が重要。今年と来年が勝負の年。
総務省:制度が変われば人も変わる。ICT化が最も遅れているのは行政であり偉そうなことは言えないが。学校と外部との連携が先進国への道。
経産省:国がやるべきこととやってはいけないことの整理が必要。技術の革新・発展には正解がない。教育情報化後進国であったことが、リープフロッグで強みとなる可能性もある。新しい未来を作り出したい。
2.それに向けてDiTTはじめ民間に期待することは?
文科省:教材・サービスを自治体に働きかけ、学校と民間の連携を期待したい。
総務省:制度関係なくどんどん推進して欲しい。横のつながりを密にして、みんなで推進して欲しい。
経産省:産業と教育は相反すると思われがちだが、経済・ビジネスとして捉えることも重要。民間にモメンタムをつくって欲しい。
3.民間としての推進の動きの1つが超教育協会設立であるが期待することは?
文科省:教育における技術活用のあり方を積極的に検討したい。色々な主体が議論することは良いこと。検討の際に色々とインプットしてもらいたい。
総務省:税金に頼らず継続的に推進する連携の仕組みを作ってほしい。超教育では、国全体として学校だけではない教育の体系づくりをすることを目指していると捉えている。
経産省:教育の未来像を描くことを期待したい。民間がモメンタムをつくり、「超教育」が流行語大賞になるくらい露出して欲しい。国民の皆様に関心をもってほしい。
超教育協会を含めわたしたちの取組に3省からエールをいただいたと思います。
政府とも十分にコミュニケーションを取りながら、民間として力強く動いていきたく存じます。