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2014.09.02
ワークショップコレクション10ふりかえり

ワークショップコレクション10、おつかれさまでした。そして、どうもありがとうございました。

 昨年3月に開催したワークショップコレクション9は2日間で10万人の来場を達成しました。
その数字を聞いた時になんとなく気持ちに一区切りができてしまった前回。
規模が大きくなるにつれてますます厳しくなる懐事情。
3回目くらいからは「もう来年は無理だと思います」とまわりの方々に毎年言い続けてきました。

 でも「次はどうするの?」という質問はやみません。迷い、悩みつつ、10回目を開こうと自らを
奮い立たせました。とはいえ、10回目です。初心に返り次の10年に向けて新しいスタートが切りたい。
しかし、開催の会場が青学となったのは約5ヶ月前の4月。
5年ぶりの新しい会場での開催にしては準備期間が短すぎ、次の10年どころか安全を確保した開催の準備がせいいっぱいでしたが、新ワークショップコレクションに向けて3つのことを意識して企画をしました。

1.先駆性
 デジタル時代の新しい学びをファッションショーのようにポップに伝えられないか?という趣旨で始まったワークショップコレクション。
2004年に開催した第1回の会場にて、出展者のアーティストに「シーグラフ立ち上がりの頃と同じ空気を感じた」と言われました。嬉しかったんですよね、その言葉が。
シーグラフというのは「「世界最大かつ最高のCGの祭典」といわれ、学術的研究、アート、教育など、あらゆるCGに関する最先端が集結する。(by Wikipedia)」
らしいのですが、つまり、「世界最大かつ最高の子どもたちの創造的な学びに関する最先端が集結する場」に育てていければいいなと思ったのです、2004年に。
今回、改めて「最先端」を意識しようと思いました。
 そこで、本年度はいま世界的にも盛り上がりを見せているプログラミング学習や、3Dプリンター、
ロボットなど、新しいテクノロジーを活用した学びのブースを用意しました。
それがPEGコーナーでした。思いもかけずPepperも8体も来てくれ、ワークショップアワード審査員の(私をのぞく)全員が、審査対象外にも関わらず、PEGブースにはなにか賞を出すべきだと言ってくださり、事務局としてはまだまだ不満足ではあったのですが、初回のチャレンジとしては良かったのかなと思っております。
もちろん私たちが用意するまでもなく、本年度はデジタル×ものづくりの出展が増えており、しかもバリエーションも豊富で驚きました。
 次回以降も、先端的な学び&遊びを伝える場ということを改めて意識していきたいと思っています。

2.国際性
 これまでもイタリア、韓国からの出展、韓国でのワークショップコレクション開催などがありましたが、オリンピックも控えていることですし、海外事例の誘致や海外への情報発信をきちんと考えていきたいなと思いました。一足飛びには難しいので、今年は国際デジタルえほんフェアのブースに集中し、準備をしました。結果、世界40カ国から200作品を展示し、海外の方々にもワークショップコレクションの存在を認知して頂きました。また、国際デジタルえほんフェアとあわせて開催しているデジタルえほんアワードには、児童書の分野では世界最大規模の祭典であるボローニャ国際絵本展デジタル部門の応募総数を超える作品が集まりました。ひとまず第一歩を踏み出せたかなと思います。

3.全国への広がり
 「日本中の子どもたち」に創造的な学びの場を届けたい!という想いからはじめたワークショップコレクション。全国の大人のみなさまにワークショップコレクションにおこし頂き、ぜひ自分の地域に持ち帰って、各地域で展開して頂きたいという趣旨ではじめました。しかし、1箇所の拠点で普及を目指しても10万が限界(と感じました)。であれば、ワークショップコレクションにあわせて、全国で同時にワークショップを開催することで、日本中で盛り上げていきないだろうか?そこで、今年からクリエイティブキッズデイという企画を始めました。子どもたちの「創る」を応援する年に1度のお祭りをつくり、その時ばかりは日本中をこどもたちのキャンバスにしてしまおう!という試み。北海道から沖縄まで、初回にも関わらず約150のワークショップが参加してくれました。愛知では24のワークショップが一同に集うワークショップギャザリングが開催され、NHKでも大きく取り上げられました。ワークショップコレクションの初回の参加ワークショップ数は14。はじめから24も集まるなんて愛知はすごいなぁ。
 もちろん東京でも、青学を拠点にしながらも、近隣の街に飛び出そう!と、こどもの城や青山ブックセンター、渋谷の工事現場などにもスペシャル企画を用意しました。
 クリエイティブキッズデイは次回から特に力をいれていきたいと思っています。

 さて、実は事務局の悩みとしてはあの混雑がありました。
 主催者としては、本当はこんなこと書いてはいけないのかもしれないですが、10万人の来場に喜んではいるものの、正直なところ、出展者、来場者の満足度は前回最悪だったのではないかと思います。
 出展者はお昼休みもとれず、ひっきりなしにくる子どもたちの対応。
2日分と思い用意していた材料は初日でなくなり、初日の夜に急遽様々な対応を求められ。
 来場者は、会場1時間前から長蛇の列を並び、開場してから入場できるまで1時間以上。どのワークショップに参加するにも2時間待ち3時間待ちが基本。ひどいと4時間待ち。移動も困難なぎゅうぎゅうの廊下をやっと脱出するも休憩場所もなく。まる1日いても1つか2つしかワークショップに参加できない子どもたち。
 その混雑実態をよく知っているコアスタッフからは、「ワークショップの内容はどれもすばらしいのに、親戚や知人に案内できないでいる」という本音が出たのも昨年終了時でした。

 今年は、来場者数が減ったこと、廊下や休憩スペースが広かったこと、事務局としても自由参加企画をこれまでより多く用意できたことなどから、以前より快適な空間を用意できたのではないかと思います。
今年は最長でも2時間待ち、多くは30分(1時間?)待ち以内で参加できていました。
 ちなみに本年度の来場者数は5.7万人(本年度からはクリエイティブキッズデイとあわせた来場者数を発表する予定だったのですが、まだ集計できておらず、しかし各所から問い合わせがひっきりなしにくるのでひとまず青学の数字を)。来場者減の理由は、場所と時期が変わったこと、口コミで来場者数が増えて来たイベントにも関わらずこれまでの日吉近辺の過去参加者にパンフを一切配れていないこと(ごめんなさい!)、告知が遅れたこと、初日は平日の開催であったこと、イベント参加者が少ないといわれている8月最後の週であったことなどがあげられると思います。
 しかし、各フロアスタッフからは「これまでは疲れ果てた表情の親が多かったが、今年は親子で参加している微笑ましい風景がみられた」という報告、終了後は「これだったら親戚に案内したのに」というコアスタッフの声が聞かれました。
 出展者からは「昨年度よりも場所がいい!」「やりやすかった!」という声を頂いていますが、一部の方の話なのでこれから改めてしっかりアンケートなどとりたいと思います。
 数年にわたって子どもと参加をしている保護者の方々からも今年は抜群に良かったといったメッセージを複数いただき、ホロリとしています。
 ずっとワークショップコレクションを見てくれているワークショップアワード審査員の季里さんからは、私たちとしては新生ワークショップコレクションの1年目の予定でしたが、「10回目にして、完成形をつくれていたように見えた」という大変嬉しい感想を頂きました。

 これから継続してこの場所で開催できるのであれば、きっとまたリピーターによって来場数が増えていくのかもしれないですが、やはり子どもたちの参加しやすさはしっかりと配慮していきたいなと思います。
 準備期間が短く、不十分ではありましたが、次の10年に向けて新たな幕開けの半歩にはなれたかなと思います。
 
 
 来場者、出展者の皆様には多々の不手際がありご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げるとともに、次の10年も一緒にワークショップコレクションを育てて頂けるとうれしいです。
 ありがとうございました。