CANVAS
- 2019.08.27
- ありがとう、飯塚靖治さん
8月22日、CANVASの事務局責任者の飯塚靖治さんが急逝されました。享年34歳。急に腹痛を訴えて病院に運ばれ、そのまま息を引き取ったとのことです。前日まで元気いっぱいでした。直前まで明るいメールのやりとりがありました。あまりのことに言葉がありません。
1年あまり前、飯塚さんがCANVASの職場にお目見えになった時、早稲田大学政経学部ご出身のハイスペックで、真面目な硬さをもつ人柄に、ふだんアバウトな私たちは「大丈夫?」という第一印象でした。
それはすぐに裏切られました。私たちの自由でルールなしのやり方に「あ、こういう働き方があるんだ」と当初から高い適応力を見せられ、すんなりと、柔軟に仕事をさばいていきました。「それぞれが意思を持っているなら、こういう働き方はやりやすい」と、朝早くから始業し、夕刻には帰宅して幼いお嬢さんの相手をする。超効率的で高性能な職業人・生活者の姿は、私たちの手本になりました。
何でもできるかたでした。財務、経理、人事、総務、企画、営業。何でもやろうとするかたでした。「自分の力で企画をすることが一番好きだ」。手がけた企画の現場に行く瞬間の高揚感を語ってくれました。「アーティストと一緒につくる人になりたい」と話していました。
まわりの人にチャンスを提示し、一歩を踏み出す手助けをする人でした。そのためにアイデアを出すことを惜しまない人でした。「パブリックな仕事がプライベートとも一体化させること、それがライフワークだ」とも。だから、のめりこんだ。手応えを感じ始めていました。そして、こう言いました。「これは天職です」。
CANVASのコアスタッフはいずれも10年選手。そこに入ってきてわずか1年にして、リーダーになりました。新設した会社の役員を決めるに当たり、全員の同意で飯塚さんが推薦されました。それだけの実績をあげ、みんなの信頼を得た結果です。
飯塚さんが力を入れた仕事に「デジタルえほんアワード」があります。昨年のアワードは23カ国から322作品が応募する世界最大のデジタルえほんイベントに成長しました。各国の在日大使館と連携したプロモーションを通じ、海外からの評判も高まったのは彼の功績です。
新基軸の開拓にも熱心に取り組んでいました。気がつくと多くの人を巻き込み新しいプロジェクトをスタートさせていました。そして必ずこう一言添えるのです。「この企画は将来的にはこのように発展します。」いつも長期的視点で物事を考える人でした。
これらは今後、NTT、吉本興業、クールジャパン機構による海外向けプラットフォーム「ラフ・アンド・ピース マザー」でも展開し、世界に向けて発信していこうと考えています。これも飯塚さんが先導する予定でした。
リズミカルに、軽やかに、楽しんで。ブレイクダンサーという顔をもつ飯塚さんの真骨頂は、これから発揮されるはずでした。CANVASのリーダーとして、子どもたちの創造力、コミュニケーション力を育む柱となるはずのかたでした。
奥様からメールを頂きました。
「夫はこれまで、娘が喜んでくれるような物を形にして世の中に生み出したい。と漠然と考えていたことが、貴社に入社したことで、その術を学び夢に向かって歩いているところだったのだと思います。その夢を叶えるほんの手前だったこと、娘の成長を見られないこと、どれだけ悔しいでしょう。」
私たちにいまできること。それは、立ち止まることなく、彼の夢を引き継ぎ、前に進むこと。
まずは自分が実行して示す。結果は後からついてくる。そんな飯塚流仕事スタイルを継承し、彼の夢を1つ1つ形にしていきたいと思います。
そして、10年後、お嬢さんにその形を見てもらいたい。
お父さんが残したことがどれだけ周りへ大きな優しさを満ち溢れさせたか。あなたがどれだけ深い愛に包まれていたか。
心残りだったでしょう。無念だったでしょう。
「順調に進んでいるよ」、「大丈夫だよ」。
天国に、少しでも安心を報告できるようにします。
ありがとう、飯塚靖治さん。