超教育協会

2019.10.08
【レポート】教育情報化推進法成立記念シンポジウム第一部

まずは速報レポートです。

 2019年6月に「学校教育の情報化の推進に関する法律」が公布・施行されたことを記念し、シンポジウムを開催いたしました。この法案は、与野党の超党派国会議員による「教育におけるICT利活用促進をめざす議員連盟」が策定したもので、我々も有識者アドバイザーとしても作業に加わり作成しました。
http://lot.or.jp/wp/project/1349/

 まずは議連のメンバー、文部科学省、総務省、経済産業省を交えて議論した第一部のレポートです。
 登壇者は、遠藤利明衆議院議員、中川正春衆議院議員、盛山正仁衆議院議員、石橋通宏参議院議員、文部科学省髙谷浩樹課長、経済産業省浅野大介課長、総務省吉田正彦課長、中村伊知哉慶応大学教授。私はモデレーターをつとめました。

 冒頭、議連の遠藤会長から「法律ができた事で、これからの教育は知識を詰め込むだけでなく、次の時代を作る子供の一人一人の能力を高めていく事が大切。そのためにICT教育を、英語教育、理科教育、とあわせ3本の柱の一つとして重要と考えている。皆さんの力をあわせて進めていきたい」との挨拶がありました。

 冒頭、議連の遠藤会長から「法律ができた事で、これからの教育は知識を詰め込むだけでなく、次の時代を作る子供の一人一人の能力を高めていく事が大切。そのためにICT教育を、英語教育、理科教育、とあわせ3本の柱の一つとして重要と考えている。皆さんの力をあわせて進めていきたい」との挨拶がありました。
 続いて中川元文科大臣は、国が国家戦略としてICT教育を進めるという認識を示した上で、課題を2点指摘されました。「教科書は無償だが、紙の教科書とデジタルの教科書を並立で使う。その負担をどう勘案していくか議論が必要である。また、ハードに関する市町村格差をどうするか。地方交付税で対応しているため、自治体の判断により差が生じる。ここをどう工夫するか。」
 さらに、石橋事務局長は、法制化による効果として、「1.自治体間・学校格差の解消、2.財政処置と予算執行の促進、3.導入コスト低廉化・選択肢の増加、4.真の「デジタル 教科書」の正規化、5.教員の養成と負担軽減」の5点をあげました。そして、この法律の柱はデジタル教科書であるとし、「現在は紙の教科書をデジタル教科書にしているが、将来はデジタル教科書そのものが検定教科書として使えるように目指していく。ここがスタートだ。」とのお話がありました。
 最後に、盛山幹事長は、今回成立した「学校教育の情報化の推進に関する法律」について、目的、定義、基本理念、国の責務等、法制上の処置等、推進計画、基本的施策など具体的な内容を説明し、「いかにICTを使い推進していくかが課題である」と指摘されました。

 続いて、3省に政策の状況をお話頂きました。
 文科省高谷課長は、学校のICT環境整備が国際的に遅れている現状および地域間格差が大きい状況を説明。クラウドの活用、安価な端末によって学校のICT環境整備を進めていく方針、さらには先端技術・教育ビックデータの効果的な活用を推進する旨お話されました。
 総務省の吉田課長は、校務系システムと授業・学習系システムのデータ連携を可能とする通信技術の標準仕様を作成する取組を説明。また、地域ICTクラブとして、地域で子供、社会人、高齢者等がモノづくり、ロボット操作などを学び合う中でプログラミング等ICT活用スキルうに関し、世代を超えて知識・経験を共有する仕組みを整備する取組につき、実証実験の状況も含めて説明されました。
 経産省浅野課長は、学びの自立化・個別最適化、学びのSTEAM化、新しい学習基盤づくりに取り組む「未来の教室」に向けての取組について説明。イノベーションを介して学校教育×民間教育×産業界×大学の動きをどう大きくしていきたいとお話されました。
 私からは、2002年CANVAS設立の際に提案した「デジタル技術こども利用促進法」、2005年からスタートした「ランドセルPC」構想、デジタルランドセルからデジタル教科書に名称が変わった話などなど、法案成立までの経緯と想いをお話しました。

 その後討議に入ります。 
 日本の教育情報化の現状については遅れているとの認識の基、その理由として予算化に向けエビデンス・成果を出したが財務省を説得出来なかった点や ICT/PCが文房具として認識されていない点が指摘され、今回の法案成立で国民の合意として投資をする意識を持つ事が重要との議論が行われました。
 またAI時代の教育のおいても世界最先端の教育環境に変化出来るかとの議論では、文部科学省の高谷課長は日本型AI教育を目指したい、日本の教育の良さを生かしながらICTやAIを取り入れていく事が必要とし、日本の特色や強みに第4次産業革命の技術を組み合わせていく事で日本の教育が輸出産業に発展する可能性があると指摘されました。
 みなさんのご意見から第一部議論のまとめは大事なことは「覚悟と決意」ということで一部の議論を締めさせて頂きました。
 議論は私からの問いに対して登壇者に○☓で回答して頂いたものもありますので、そちらも整理の上、後日報告します。