超教育協会

2021.12.02
【告知】「個別最適な学びと協働的な学びを実現するために~公開データワーキンググループ」

12月22日の超教育オンラインシンポは、デジタル庁ほか関係省庁の皆様×超教育データWGのメンバーで教育DX実現に向けて、公開ディスカッションをします。

教育データの利活用に向けたロードマップ策定に着手しているデジタル庁に提出したパブコメを踏まえ、議論します。

*教育データの利活用について_パブリックコメント

https://lot.or.jp/report/6971/

*オンラインシンポ詳細

https://lot.or.jp/report/6732/

日時:2021年12月22日(水)12時~13時

■ご登壇予定:

浅野大介  経済産業省 商務・サービスグループ サービス政策課長(兼)教育産業室長
板倉寛   文部科学省 初等中等教育局学校デジタル化プロジェクトチームリーダー
桐生崇   文部科学省 大臣官房文部科学戦略官・総合教育政策局教育DX推進室長
吉田宏平  デジタル庁 統括官付参事官
小木曽稔  一般社団法人新経済連盟 渉外アドバイザー
安浦寛人  一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会 (JMOOC) 副理事長
柳瀬隆志  嘉穂無線ホールディングス株式会社 代表取締役社長
中村伊知哉 iU 学長
菊池尚人  一般社団法人CiP協議会(CiP) 専務理事
石戸奈々子 一般社団法人超教育協会 理事長
*敬称略

——————————————————-

*教育データの利活用について_パブリックコメント

https://lot.or.jp/report/6971/

設問1、2を通して、分散管理を大きな原則とし、その旨を明記すべきです。
具体的には、以下の方針を提案します。

・学習eポータルのAPIは標準化し、PDSに対する開示を義務付けること

・PDSは分散型(データの管理者は本人のみ)で、学習eポータルのAPIにアクセスするのは個人端末のアプリケーションとすること

・学修歴の電子証明も含む教育データを他のパーソナルデータと併せてデータ主体(学習者と教師)本人が管理運用すること

・学習者の保護者や教師が属する組織もデータ主体本人の同意や法的根拠に基づいて教育データを管理運用できること

設問1:教育データを利活用する上で留意すべき点はなんだと思いますか

留意点は次の三点です。

1)教育データの定義

教師、学習者、保護者、教育機関、民間機関などの関与するデータの明確化

2)基本ルール(規範)の制定

データの作成、帰属、改変、閲覧などの権利の在り方

各データの利活用に対する同意のあり方

3)データ管理規範の明確化

利活用に向けた、オープン化原則

安全性、安定性の担保

各論としては以下です。

・教育データについて定義を定める必要があります。教育データ利活用を検討するにあたって、利活用の前提となる教育データの定義や規格統一のためのガイドラインを策定することが求められます。ガイドライン策定に向けては、複数の省庁や業種が関連するため、デジタル庁が各省庁や民間事業者を巻き込んで横断的に検討を進めることが重要です。

・学校で取得される公的データと民間事業者が取得する民間データを明確に区別し、相互の連携を含めた取扱いについて明確なルールを設けるべきです。民間教育サービス事業者が事業の研究開発に際し、公的データを適時適切に広く活用できる仕組みが求められます。

・教育データは、漏えいや不正な利用が生じないように、適切に取り扱う必要があります。従来以上に利用者に対し、リテラシーを醸成する教育、研修の受講を促す必要があります。加えて、教員のデジタル化をサポートする効率的なリソース(サポート人員、補助金、公的資格等)の確保に留意すべきです。リテラシー教育を行うために、関連するコンテンツの拡充、開発が可能な運用体制の支援や整備を進めるべきです。

設問2:教育データの蓄積・流通のアーキテクチャ構築に当たって必要なことはなんだと思いますか

次の四点を含む、シンプルで分かりやすいアーキテクチャの概念を示すべきです。

1)認証の在り方

個人の認証

個人の関係性の認証(教師、学習者、保護者の関係)

機関の認証

2)データへのアクセス権の整理

データの帰属、改変、閲覧に関する権利

3)標準化に向けた取組み指針の策定

4)端末、通信環境整備やセキュリティの責任分岐点の明確化

各論としては以下です。

・示されたアーキテクチャイメージ図では、現場に整備されている要素と新規の要素の違いが不明瞭であり、混乱の原因となりえます。アーキテクチャ全体像やその検討方針を、ステークホルダーが正しく理解できるように整理する必要があります。

・基本的なルールの検討主体や検討期限、検討計画を明確化した「ロードマップ」を提示することが必要です。学習者が自らのデータを管理運用する構造を中心として、各データのステークホルダーがどのように定義されるか、明確な指針を示すことにより、学習者が便益を得るためのアーキテクチャ実現が可能となります。

・全ての学校や学習者の就職先の機関にわたる相互運用性を確保したアーキテクチャが必要です。また、民間事業者とのAPI連携等によるデータ利活用を見据えるべきです。教育に関するデータを学習者が総合的かつ横断的に管理できるようなIDが必要です。分散管理の原則により、それは学習者本人が管理する自己主権型のIDであるべきです。

・学習者端末、教職員端末共にいつでもどこでも適切な認証やアクセスコントロールの下で、校務情報を含めデータを利活用可能にするべきですし、暗号化処理を行うなど、適切な管理、保管が重要であると考えます。

なお、今回の質問の大前提として、以下の三点に関する考察も求められると考えます。

〇教育データ利活用の前提として必要な確認

システムアーキテクチャを構築する上で、ステークホルダーにとってどのようなメリットが生じるのか。また、具体的なニーズの記述が必要ではないのか、あるいは従来の教育と比べた場合の付加価値に関する記述が必要ではないのか(学習者(学校教育での子供だけでなく社会人も含めて)、義務教育、高等教育の教師等教育関係者、企業など)

〇対象範囲

政府の方針として、学校内外のデータの将来的な連携を見据えてロードマップを作成するとされていますが、学校外のデータの扱いが記述が必ずしも十分でないので、当該部分の議論も継続すべきではないか。

〇学習履歴の見える化だけでなく学習履歴の質保証の観点

いわゆる、「バッジ」などの導入がデータ利活用の前提として必要ではないか。