デジタル教科書

2018.03.22
DiTTシンポジウム「AI時代の教育を考える」第2弾(後編)

(AI時代の教育シンポ続き)
 その後、議論の時間が30分と短い中、皆様のご意見を表明頂くため、◯☓札と回答ボードをお渡しし、私から質問。
質問した内容は下記の通り。
■子どもに関して
・子どもたちの成績はあがった? 
・子どもたちの学習態度が良くなった?
・すべての子どもたちにAIは有効?
■保護者・先生の反応に関して
・保護者の反応は上々である?
・先生は教えやすくなった?
■学校導入に関して
・すべての教科にAI導入は効果的である?
・学校は積極的に導入するべき?
・学校へ導入することで学校での授業時間数を大幅に短縮できる?
■その他
・AIで21Cスキルを育むことができる?
・20年後先生はAIに置き換わっている?
■まとめ
・ AIを教育にいれるにあたっての課題は?
・ AIを教育にいれる今後の可能性は?

 AI導入により子どもたちの成績があがったかという質問に関しては、全員が迷わず即答で◯。学習態度の向上に関する報告も多いが、その一方で、先生がやり方を指示しないと遊んでしまう可能性もあるという意見もあり、導入の仕方には注意が必要なよう。
AIは子どもにより向き不向きがあるという意見も見られた。その別れ道は学習意欲があるかないか。学力が低くてもAIがサポートできるが、夢や目標をつくることはできない。モチベーターとなる先生の力とAIの組み合わせにより、はじめて生徒に適した学習環境をつくることができる。
 保護者の反応も全員◯、当初は懐疑的であった保護者もいたものの、徐々に理解が深まっている。なによりも、効果があがっているので当然保護者は喜ぶ。保護者からは、他の塾と比較して子どもが楽しそうに通っているという感想もあり、データを見ながら子どものがんばりを話し合える点も高い評価を受けている。
 登壇されている皆様の経営者目線ではAI導入の意義や効果は分かったが、先生はどう捉えているのか。9人中6人は先生は教えやすくなったと回答したものの、3人は迷う。「すべての」先生がうまく取り入れられているわけではないとのこと。ITリテラシーが低い先生と、教えることが好きな先生は戸惑う傾向にある。教えるのが好きな先生からすると仕事を奪われる感覚があるのか。今後の課題はここかもしれない。

 学校への導入も全員が◯。科目によって向き不向きはあるものの、全ての教科においてAI導入は効果があるとの意見。英語、プログラミングなど学ばなくてはいけない内容も増え、先生の残業時間も問題となっている今、学習時間の短縮と効率的な指導が可能なAIの導入は課題解決の手段になれるのかもしれない。

 プレゼンでは基礎学力の効率的学習に関する話がほとんどだったが、21Cスキルを育むにあたってもAIは効果的であるというのが皆様のご意見。今はアダプティブラーニングに適したAIの開発を行っているが、21世紀型スキルを育むAIの開発をすればいいだけ。その際に、21世紀型スキルが示しているコトを明確に定義する必要があるとのこと。
 20年後先生はAIに置き換わっている?という少々回答しにくい投げかけをしたところ、意見は割れる。これからは先生の役割が大きくかわり、もはやそれはティーチャーではなくジェネレーターである。表現の仕方に差異はあるものの先生の役割が大きく変わるというのは全員の一致した意見。それに向けてやりたいという意思表示として◯を挙げたという回答は心強い。

 最後に質問したのは課題と展望。
 課題としては、予算、通信環境、デバイス規格といった環境面の指摘もあったものの、最も多い指摘は「意識」。変化をすることを前向きに取らえる「意志」が重要であるということで一致。
 可能性に関しては、「+αの学び」に関して言及される方が多くみられた。21世紀スキルを育む教科横断型、プロジェクト型の学習へ時間を捻出できることを最大の価値と捉えているよう。
 基礎学力と21世紀型スキルは二項対立で語られがちでした。21世紀型スキルも重要だが、基礎学力が落ちてしまうのではないか?

 本日登壇の皆様のご意見は、両方大事で両立可能であるということ。基礎学力の習得にかかる時間を技術の力で効率化し、21世紀型スキルを始めとする新しい学びやこれからを生きる力を育んでいく。それがみなさまの目指している世界のようでした。

本日の結論は下記でしょうか。
・ AI教材により基礎学力の成績があがる
・ AI教材により基礎学力の向上と21世紀型スキルの育成が両立可能となる
・ 先生とAIの組み合わせが重要であり、先生の役割が変わる。

教育の変化の兆しを感じる非常に刺激的な議論でした。

 後進国ともいえる日本の教育情報化環境整備状況にもようやく動き始めました。しかし、それら教育情報化の推進は世界のキャッチアップであり、AI/IoT時代の最先端の学びをデザインすることも合わせて実施していかないといけないと思っています。
そのための「超教育協会」設立です。
 IT系団体等と一緒にテクノロジードリブンで民間ビジネスリーダーと新たな未知を切り開くことに取り組みたい。それが新しい団体の狙いです。IT人材の不足は我が国30年来の課題かと思いますので、民間で一致団結して推進できるよう尽力したいと思います。
5月29日が「超教育協会」設立シンポです。