超教育協会

2019.10.26
【レポート】教育情報化推進法設立祝シンポ第2弾①

 先日ご報告しました通り「学校教育の情報化の推進に関する法律」が公布・施行されたことを記念し、シンポジウムを開催しました。パネルディスカッションでは登壇者の皆様にこちらからの投げかけに対する回答をボードに記載頂きました。
 まず第1部の皆様の回答です。「○☓+記述」で回答頂きました。第1部登壇者は、遠藤利明衆議院議員、中川正春衆議院議員、盛山正仁衆議院議員、石橋通宏参議院議員、文部科学省高谷課長、総務省吉田課長、経済産業省浅野課長です。

【質問1:日本の教育情報化は遅れている?その理由はなぜ?】
全員が○の回答。
石橋先生 
「理解不足/ 抵抗勢力」
議論を始めた2009年頃も、「黒板とチョークだ」という議論があった。

盛山先生 
「学校におけるハード・ソフトのICT化の遅れ、先生の対応もまだまだこれから」
抵抗勢力もあったが、一番の大きな課題は予算。本分野への投資が必要であるという意識を国民全体で持たないといけない。

遠藤先生 
「教育関係者が子どもよりも先生たちの想いが優先/成功している」
初等中等教育はうまくいっていていまのままでいいと思いこんでいる。タブレットなどを使うと頭が混乱するという意識もあった。学校の先生の競争がもっとあれば変わったのではないか?また財務省を説得する力が弱かった。日本の教育は結果の平等を求めてきたが、タブレットを使ったときにうまれる結果の不平等が怖いのではないか。

中川先生 
「デジタル教科書の法制化」
予算をつける。政治的に着地点を明確にする。遅れているね、だけで終わっていたことが問題。法律で決めたのだから予算・体制を整備するよう議論をすすめていかないといけない。

浅野課長
「文房具だと思われていないから」
鉛筆やノートを持たずに学校に来たら怒られる。それと同じ存在だと言い切るところからスタートすべき。
働き方改革とセットですすめると良い。

吉田課長 
「学校側の意識・取組」
効果が見えにくかった。

高谷課長 
「必要性が共有されない」

【質問2:日本は教育ICT化のフロントランナーに立てるか?それに当たっての課題とアクションは?】
遠藤先生☓ 石橋先生○☓ 他○
遠藤先生
「政治の中で教育が本当に必要不可欠という意識が少ない⇒票にならない」
○にしたいが、票に結びつきやすい高齢者に予算はつきがち。政治の中で教育が必要不可欠という意識が低い。予算を確保するには他の予算を削るか新たな税をつくるか戦わなければならない。そんなに甘くないという意味で敢えて☓とした。

石橋先生
「予算→(政治の意思)→ビジネスモデル」
予算をつけることで政治の意思を示したい。それを見せれば総力戦で取り組もう!となる。これは決意も含めて書いた。

盛山先生
「国民の意識改革が必要/日本が世界から遅れないように!」
国民が理解し合意する意識変革が必要。これからの日本を支える子どもたちが世界のトップレベルで他国と競争できるよにするにはどうすればよいか理解をしてもらう必要がある。

中川先生
「この法律を使いこむ」
この法律は実現するためにつくった。中途半端なことをいってはいけない。皆の意識を統一しないといけない。

高谷課長
「現場の理解+産業の転換」
自治体全体として学校のICT化は必要と考えていただくことが大事。一部の学校向けのサービエスではビジネスにならない。使って頂けるモデルを考案し売り出してもらいたい。

浅野課長
「(家計負担の)「教材費」総みなおし/政府の最初のアクション/「教材費」見直し」
1人1台実現をはっきりいい続けることが大事。同時に、文房具という以上、政府予算で続けることは難しい。現状の教材費を見直すことで家庭負担も検討。

吉田課長
「好事例を先生にも保護者にもできるだけ伝えていく」
まずはやってみせることが大事。良い事例を生んで広げていく。

【質問3:AI時代の教育で日本は世界最先端になれるのか?】
石橋先生が○☓まよう。
浅野課長
「教員が学ぶチャンス」
先生が今の教員像から自由になれるチャンス。しかしそういうマインドセットにもなっていないし、トレーニングする機械もない。先生がバージョンアップできるチャンスをどれだけつくれるかによって世界最先端に躍り出られる。

吉田課長
「ICTは分界点を過ぎると一気に普及は進む、好事例を」
ICTは分界点を過ぎると広がるが日本はまだそれを迎えていない。良いものがみえれば一気に普及するのではないか?

高谷課長
「日本の教育+AIで、日本型AI教育」
日本の教育もよいところはたくさんある。それにAI、ICTを導入して日本型モデルにすると、日本の先生にも受け入れられるだけではなく、輸出産業にもなるのではないか?外国のものを取り入れるのではなく、日本の特色、日本のつよみをと第4次産業革命の技術をプラスするのがよい。

遠藤先生
「したい/皆で騒ぐ事/人造りにはカネがかかるということを宣伝⇒政治家の覚悟」
まず、したい。そしてそれが大事だとみんなで騒ぐ。そして最後には人づくりはお金がかかることをみなに理解してもらう。学制ができた頃、日本で一番立派な耐えものは学校だった。いま、日本の地域で一番立派な建物は福祉施設。なぜなら意識が高齢者に向いているから。子どもが次の時代をつくるという意識をつくることが大事。最後は政治家の覚悟。

中川先生 
「混乱をおそれない」
世界最先端にいこうとおもったら現在の延長線ではいけない。ワープが必要。そこで一度混乱することも辞さず。その中で新しいものをつくっていく。

盛山先生
「まずICT化の導入好事例がわかれば、急速に広がる」
まずICTを導入してよい事例をみなが理解すれば急速に広がる。百聞は一見にしかず。臨界点を超えたら、日本の教育ががらっと変わる。

石橋先生
「総力戦←デジタル教科書の正規化」
これもこれからにかかっているので○☓。さきほどと同じく予算で政治の意思を示せるかどうか、民間の皆さんと一緒につくれるかどうか次第。総力戦。この法律の柱はデジタル教科書。これが未来の教科書として現場できちんと使えるようになれば、追いつける。

第1部の速報レポートはこちらです。http://canvas.ws/nanako/?p=18855