超教育協会

2019.10.30
【レポート】教育情報化推進法設立祝シンポ第2弾②

 「学校教育の情報化の推進に関する法律」が公布・施行されたことを記念し、開催したシンポジウム。
第2部の皆様のパネルディスカッションでの回答もご紹介。
第2部登壇者はグーグル合同会社 Google for Education Japan小出代表、株式会社COMPASS 神野CEO、光村図書出版株式会社 森下部長、アマゾンウェブサービスジャパン株式会社大冨部部長。そして第1部登壇者の皆様です。


【質問1:日本の教育情報化は遅れている?その理由はなぜ?】
小出氏
「情報教育としては遅れているが、のびしろは大‼」
理由の1点目はなんとかなると思っていること。成績にフォーカスされすぎていて、成績が下がっていないから変えなくていいとなる。2点目は、過去30年間、ICTはお金がかかる怖いけないものという思い込みが激しかったから。
3周遅れくらいなのでいまからワープすれば3周先にいけるのでは?
→段階的に上がっていくのでは間に合わないですよね、同感です。(by 私)

森下氏
「遅れつづけている」
指導者用デジタル教科書の普及率は10年かけても50%にしかなっていない。いつ環境が整うのかの見通しが立たない。
→文科省の資料をみるといま3クラスで1クラスという目標の達成ですら25年かかる計算になります。1人1台になるのはいつのことやら・・・・。BYODの検討が必要ですね。(by 私)

大富部氏
「教育サービスの質:最先端 / 普及と浸透:遅れる」
日本が作り出す教育サービスは非常に質が高く最先端である、国際コンペでも良い賞を受賞できる。しかし、普及ができない。

神野氏
「法解釈と制度の理解不足」
(教員養成の話題から・・・)免許制度のあり方も再検討が必要。臨時免許制度を設けることはできないか?

追加論点:教育の業界は世界市場をどう捉えているのか?
大富部氏
言語の問題もあり、日本の市場にばかり目がいっており、はじめからグローバル・マーケットを狙う海外スタートアップとスタート地点が違う。

神野氏
いまEdTech業界のユニコーン企業は中国とインドの2カ国からだけ生まれている。アメリカでも生まれていない。理由は圧倒的な人口爆発と教育の質の低さ。
日本のミナン教育マーケットは大きくない。おそらく市場規模として1兆円弱。断トツナンバーワンの老舗企業ベネッセすら時価総額3000億円。中国だと時価総額1兆円を超えている企業が3〜4社ある。
(市場という点で塾の話に話題がうつり・・・・)

浅野課長
塾は労働集約型のビジネスモデルから、より効率的な生産性の高いビジネスへの転換が求められている。塾での事例を効率の小中学校に導入するケースも有る。学校も民間教育も一緒にやればいい。

【質問2:日本は教育ICT化のフロントランナーに立てるか?それに当たっての課題とアクションは?】
森下氏
「計画を立てる」
整備計画を立てることがゴールになってはいけない。会議体を結成し、計画を練り、モデル校をつくる。そして授業が変わる、子どもが変わるところまで動かさないといけない。


神野氏
「勝負はこの5年。今ならできる。」
今は諸外国と比較して日本のEdTech水準は高い。いま普及させればトップランナーでいられる。しかし5年後は状況が変わっているだろうからいまのままでいるとすべて塗り替えられてしまう。

大富部氏
「なれる / 行政×民間×消費者(生徒)」
生徒が使いたいときに使いたいものを使える。そこに民間が参入する。そういう環境をつくることが一番の推進力となる。

小出氏
「Yes 1300万台用意!できれば / 課題先進国での新しい教育の形 テクノロジーを使って」
1000億円で100万台整備できる。1300万人ということは1兆3000億円。3年計画で出しましょう。

【質問3:AI時代の教育で日本は世界最先端になれるのか?】
小出氏
「 AIの次をみつけられれば 」
AIで莫大なお金をかけている中国・インドには間に合わない。AIの次を見つけよう。
アイデアと発想力と行動力が大事。AIの次を見つけましょう。

神野氏
「勝負はこの5年。今ならできる。」
AI時代の世界最先端になるためには勝負はこの5年。しかしもし仮に負けてしまっても、日本人は優秀なので2045年/2050年くらいに世界最先端に追いつく可能性もある。

森下氏
「学校と家庭地域をつなぐ」
今後は、スタディログの収集・解析・活用が大事。それが学校・家庭・塾をつなぐツールにもなる。

【質問:最後に】
石橋先生
韓国に視察にいったところ学校の施設整備予算として1校2億円ついていた。校長先生の最良で3Dプリンター等設置できる。
この法律を爆発的な景気にして、ここ3〜5年で勝負手ないといけない。それは政治の覚悟だ。まできないと10年後も同じことを議論している。決意を持って取り組んでいく。総力戦で頑張ろう。

盛山先生
法律ができれば財務省に予算を要求しやすくなるが、予算は取り合い。だからこそ国民の合意が大事。前向きな投資として借金してでも予算希望を増やそうという合意が取れるかどうか。また、デジタルな時代だからこそ、リアルな体験も大事。

中川先生
3-5年で世界トップに並ぼうとするのであればやはりワープが必要。1500万台が大事。リースなどの様々な方法を検討して推進する。結論は「この法律を使いこなしましょう」。

参考)
第1部速報レポート
http://canvas.ws/nanako/?p=18855
第1部登壇者の回答
http://canvas.ws/nanako/?p=19010
第2部速報レポート
http://canvas.ws/nanako/?p=18900

超教育協会のサイトにもレポートを掲載しています。
http://lot.or.jp/wp/project/1349/
http://lot.or.jp/wp/project/1363/