その他

2019.11.06
プラチナ大賞最終審査会&表彰

 昨日はプラチナ大賞最終審査会&表彰。夜のニュースでも流れていました。プラチナ大賞は、イノベーションによる新産業の創出やアイデアあふれる方策などにより社会や地域の課題を解決し、プラチナ社会の姿を体現している自治体や企業などの取り組みを称える賞でして、私は審査員として参画しています。「社会的ニーズへの対応」、「創造性・革新性」、「実効性」、「協同の実現性」、「持続可能性」、「展開可能性」の6つの視点から審査します。

 冒頭、プラチナ構想ネットワーク小宮山宏会長の挨拶。「プラチナ構想をはじめて9年。いまは3フェーズ目を迎えている。はじめは持続可能な地球と一人ひとりの自己実現を可能とする社会を構築するという理念形成に3年。次のフェーズは良い事例を巻き込むことに注力。そしていまは自ら社会実装に取り組んでいる。プラチナ大賞は7回目を迎える。これまでの応募数は約350件、大賞候補となった事例は約70件。これら取り組みを横展開すれば、日本は良くなる。そして世界に輸出可能なモデルを構築できる。」
私のこれからの活動のテーマは「ソーシャル」。プラチナ大賞にはたくさんのヒントが詰まっており、受賞事例をご紹介。

 プラチナ大賞は、イノベーションによる新産業の創出やアイデアあふれる方策などにより社会や地域の課題を解決し、プラチナ社会の姿を体現している自治体や企業などの取り組みを称える賞でして、私は審査員として参画しています。「社会的ニーズへの対応」、「創造性・革新性」、「実効性」、「協同の実現性」、「持続可能性」、「展開可能性」の6つの視点から審査します。
冒頭、プラチナ構想ネットワーク小宮山宏会長の挨拶。「プラチナ構想をはじめて9年。いまは3フェーズ目を迎えている。はじめは持続可能な地球と一人ひとりの自己実現を可能とする社会を構築するという理念形成に3年。次のフェーズは良い事例を巻き込むことに注力。そしていまは自ら社会実装に取り組んでいる。プラチナ大賞は7回目を迎える。これまでの応募数は約350件、大賞候補となった事例は約70件。これら取り組みを横展開すれば、日本は良くなる。そして世界に輸出可能なモデルを構築できる。」
私のこれからの活動のテーマは「ソーシャル」。プラチナ大賞にはたくさんのヒントが詰まっており、受賞事例をご紹介。

 大賞(総務大臣賞)は弘前大学・青森県・弘前市による「健康ビッグデータで短命県返上と地域経済活性化の同時実現をめざす産学官民一体型青森健康イノベーション創出プロジェクト」。青森県は男女ともに平均寿命都道府県ランキング全国最下位が続いており日本一の短命県。そんな社会的課題の解決を目標とした15年にわたる壮大なプロジェクトです。産学官民によるオープンイノベーションプラットフォームを構築し、企業・国研・大学等計61機関、市民健康リーダー3000名以上が参画しているとのこと。また、全40市町村が健康宣言をし、約100校の小中学校で健康教育活動を実施。さらには、県の入札で5ポイント付与のインセンティブが与えられる健康経営認定制度を創設し、現在200企業が認定を受けています。このプロジェクトの要となるのが、2000項目×1000人×15年の健康ビッグ・データが蓄積されていること。そのデータは弘前大学のほぼ全ての医学系講座・学部に加え、東大や京大等のAIや生物統計学の専門家、企業が加わり、共同解析が進み、革新的な疾患の予兆法・予防法の開発等を展開しています。これぞ「超大学」ですね。そして、年間3~4億円程度の民間資金による研究投資がなされています。本プロジェクトの実現による経済効果は約242億円、雇用創出1812人、医療費抑制約527億円とのこと。なによりも平均寿命ランキングにおける、男性の平均寿命の伸び幅が全国3位となったそうで、成果が現れています。いやはやまさに「寿命革命」ですね。

 大賞(経済産業大臣賞)は、有田市・リクルートによる農業改革プロジェクト。有田市のみかん産業は、耕作放棄地の増加、人手不足といった問題が表面化しており、すでに半数以上の農家に後継者がおらず、2030年までに耕作面積は2/3まで減少すると言われているそうです。そこで「地域人材発掘の場づくり」「農産品のブランド確立」「生産者の販売力の強化」「生産性向上策の検証」などに取り組んできました。取り組み始めて2年ですが、ふるさと納税のみかん返礼品が2016年比360%になる等の実績をあげているとのこと。2年間の実証を踏まえ、新規就農者、農地提供者、受け入れ農家の3者のニーズをデータベース化し、最適なマッチングを実施する三方よしの就農モデル「AGRI-LINK」を構築。全国みかん生産の規模が全盛期の1/4に縮小する中で、有田市は7割程度の規模を維持しています。AGRI-LINKへの期待は大きく、有田市みかん農家の52%が協力したいとし、農地提供、新規就農者受け入れを希望しているそうです。
一次産業における課題解決支援モデルとして注目されました。

 特別賞(きらり構想賞)を受賞したのは熱中学園×更別村・高森町・琴浦町・越知町・小林市。全国1万余の郵便局に置かれている「風景印(風景入り通信日付印)」を熱中学園の生徒によりデザインするという取り組み。取り組みが広がるうちに様々なアイデアが加わり、QRコードを付加するスタンプが生まれたそうです。郵便物を受け取った人が、スマホを風景印にかざすだけでその土地の観光・イベントなどにアクセスでき、地域情報発信ツールとして活用できるというもの。
全国に広がる熱中小学校の取り組み自体が面白いですね。

特別賞(全員参加の社会づくり賞)は、清水建設・日本アイ・ビー・エムによる「インクルーシブな社会を実現する音声ナビゲーションシステム」。障がいを持つ方々に対して、適切な経路探索・移動案内を音声ナビゲーションで提供することで「自由な移動」を保障するチャレンジ。すでに複数の公共空間で実証プロジェクトが進んでおり、高い評価を得ているといいます。どのように横展開をしていくのかに注目したいです。

 特別賞(新しい時代のまちづくり賞)はさいたま市・中央住宅・高砂建設・アキュラホームによる課題解決モデル構築都市「スマートシティさいたまモデル」。美園地区をフィールドに、IoT・AI等の先端技術を積極導入し、心豊かなライフスタイルとコミュニティを体現した、脱炭素・循環型地域社会を目指したまちづくりを推進。超小型モビリティ、自動運転バス実証、WEBロッカー、地域通貨、スマートホーム、フードマイレージ、ヘルスケア、地域情報発信、子育てシェアなど、市民生活を構成するすべての分野を対象に網羅的にプロジェクトを展開しています。実施にあたっては、先端技術によるスマート化と人と人とのコミュニティ形成を重視。また、各サービス運営を通じて得られてるデータ等をエリア価値向上に向け有効利活用すべく共通プラットフォームも構築されているそうです。

 特別賞(全員参加の地域づくり賞)は浜松市・京丸園・ひなりによる「ユニバーサル農業」。農作業を「作業分解」することで、障がい者や高齢者の方々もふくめ誰にでもできるカタチにデザインし、多様な担い手が参加うする「ユニバーサル農業」を実現。結果として、作業の効率化や規模拡大など農業経営改革にもつながり、農業・会社・障がい者の三方良しのモデルが構築できたとのこと。「変わるのは障がい者ではなく農業」であり、「障がい者・高齢者を福祉で助けるのではなくともに働く場をつくりたい」というお話が印象的でした。浜松市は幸福度ランキングで第1位とのこと。

 特別賞(リーディング賞)はイトーキ・鎌倉市・タウンサポート鎌倉今泉台・高齢社会共創センターによる「鎌倉リビングラボ」。まちの魅力を高め産官学民連携のオープンイノベーションを構築。日本版リビングラボのモデルとして注目されています。地域課題を住民自らが解決するプロダクトを開発して変えることに取り組んでいます。例えば快適なテレワークを実現するデスクなどがすでに開発・商品化されています。結果として空き家数が96軒から82軒に減少。小学校の児童数が423人から470人に増加など、社会課題の解決を通した新しい価値の創出につながっているようです。

 特別賞(コミュニティアピール賞)は都城市の「スマート自治体時代の地域活性化戦略」。デジタル技術を積極的に活用することで、市民サービスの向上を図りながら、利便性が高く豊かな街を構築する「都城デジタル化推進宣言」を掲げています。例えば都城市のイベントを、AIを活用した自動収集プログラムで一元化し発信。月100件超のイベントの掘り起こしにつながっているそうです。また市区別日本一の交付率であるマイナンバーカードを活用した電子母子手帳を活用し、子連れ世代を対象とした外出支援情報を発信している他、移住者に対しても、温泉や博物館等で地域通貨として活用できる地域ポイントをマイナンバーに付与し、地域魅力体験の機会創出につなげているとのこと。

 特別賞(地域パートナーシップ賞)は美祢市。全国初のPFI刑務所「ミネ社会復帰促進センター」を地方創生に資する重要な資源を位置づけ、共生のまちづくりを推進。ネットストアの開設や運営に関する知識を学ぶ職業訓練等を実施し、美祢市の地場産品等を販売するストアサイトを受刑者が制作。センターが再犯防止のみならず地方創生にも寄与しています。

 特別賞(全員参加の社会づくり賞)はリファイン就労支援センター。メンタルヘルス不調に苦しまれたビジネスパーソンの社会復帰支援。日本で障害に一度はメンタルヘルス不調になる人は4人に1人。さらに再発率が高いにも関わらず再発防止策もなく社会復帰しているのが現状。リファインは急増するメンタルヘルス不調のビジネスパーソンに特化した支援センターです。企業と同じような環境下での集団療法を確立し、病気になる前よりも豊かに自分らしく生きていけるようにサポートされています。

 特別賞(技術革新賞)は染めQテクノロジー。世界ではじめて「塗着補強」という技術を開発。鉄の錆やコンクリートの劣化による脆弱さに対して、コーティングにより補強補修するという技術。これにより堤防の決壊、鉄塔の倒壊を防ぐことが可能となるそうです。

 特別賞(新しい時代のインフラ賞)は富山市の低炭素水素プロジェクト。2020年に開宿400年を迎える宿場町である富山市は60年間人口が増加し続けているといいます。引き続き人口が増え続ける「住みたくなるまち日本一」を目指して取り組んでいるのがエネルギー地産地消なまちづくり。日立製作所、丸紅、みやぎ生活協同組合と連携し、低炭素水素の利活用に向けたサプライチェーン構築に向けた取り組みを実施しています。地元高校生と連携した水素プロジェクトの推進により、次世代育成にも取り組んでいるそう。

 特別賞(地域人財育成賞)はストライプインターナショナルの「SDGs岡山モデル」。「地域を取り残さない。地方から革新をおこす人材の育成を」と考え、岡山大学、シリコンバレーと連携し、実践的なリカレント教育プログラムを構築。地方から世界に羽ばたく起業家の育成に取り組んでいます。また、大学の研究成果や新技術を産学連携により製品化・市場投入する流れを生み出し、大学改革の役割も担っているそうです。

各地域の成功事例が全国に広がることを期待しています。