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2020.05.27
Z世代

Z世代についてどう思う?Z世代は社会にどういう影響を及ぼすと思う?と質問を受けました。どうなんでしょうね。

Z世代とは1996年〜2010年生まれの世代のこと。

ふだん世代で括って捉えることはしませんが、突如そう問われ頭に浮かんだのは、Z世代は2つの意味でソーシャルネイティブだなということ。

技術の変化や社会情勢が生き方や思考に大きな影響を与えるのは当然ですが、Z世代は、「ソーシャルメディア」を使いこなすソーシャル世代であり、「社会課題」に関心があるという意味でのソーシャル世代。

生まれながらに社会と世界と常につながっている世代である彼ら彼女らをみていると、ICTリテラシーが極めて高く、世界との距離が近いと感じます。エッジの効いた子たちが少し上の世代の若気の至りで炎上した学生を指して「あぁなりなくないですよね。そこは気をつけています。」と冷静に発言している姿に驚かされます。炎上を浴びるように見てきて、リスクもよくご存知で。地に足のついた使い方をしようとしている子どもたちに多々出くわします。言わずもがなですが、一定期間で投稿が消えるサービスが延びているのも永遠には残したくないからですよね。

彼ら彼女らは幼い頃から常に手のひらに大量の情報を持っています。今この瞬間のリアルタイムな国内外の情報を。その場ですぐになんでも調べますから。昭和以前の世代が子どもの頃に学校で本で学んでいたのとは入手できる情報量が雲泥の差です。そして、単に情報を得るだけに留まらず、そのリアリティを感じ取り、さらにはそのリアルに参画する術を持っている。世界や社会とつながる感覚が全く違うと感じるわけです。グローバル視点があるからか、多様性や包摂性ということに対する感度も高い。先日は「大きくなったら結婚しようね。これからは女の子同士でも結婚できるんだよ」と微笑ましい会話をする小学校低学年の仲良し女子たちと遭遇しました。

Z世代はバブルが崩壊し停滞の30年の中で育った世代。社会課題の中でしか生きていない世代がソーシャルに関心を抱くのはごく自然なのではないかと思うわけです。昭和の経済成長真っ只中で産業の勝ちを経験している世代とはだいぶ感覚が違うはず。プログラミング大会を開催すると社会課題解決型の提案が多数寄せられる。そんなお題を出しているわけじゃないのに。環境に優しいサービス、交通渋滞を緩和するためのシミュレーターなどなど。社会課題に対して能動的に向かい合い、社会に積極的に働きかけようとする子どもたちを見ていると自分が幼い頃が恥ずかしいです。米国の高校生が銃規制を求めた運動はある意味象徴かもしれません。若い子たちは自らの情報発信が社会を動かす力があることを知っています。テクノロジーによって解決できることを、ソーシャルメディアで仲間を集められることを、クラウドファンディングで資金調達できることを知っています。挑戦へのハードルが低くなっているとするならば素晴らしいことですよね。

コロナで一層ソーシャル意識が高まるのではないかしら?一個人のメリット追求だけでは社会が良くならないことを分かりやすく体験したわけですから。

令和への改元、ITからAI・IoTへのテクノロジーの変化、オリンピック・パラリンピック。閉塞感を打ち破り時代が変わる兆しを感じ始めたところにコロナがやってきた。そこで気付かされたのは、Society5.0だと騒がれていますが、我々はまだSociety4.0にもたどりつていなかったのではないかということ。至るところで3密に悩まされ、テレワークもオンライン教育もオンライン診療も、Society4.0で実現しておくべきことがまるでできていなかったという悲しい現実に直面しています。ニューノーマルはSociety4.0に過ぎないのかもしれません。しかし、Society 4.0を、ニューノーマルを、ようやく体験するDXネイティブなZ世代がSociety 5.0をどう描くのか?は興味があります。

休校が続き自宅で学ぶオンライン教育ネイティブな子どもたち。お小遣いは電子マネーでもらうキャッシュレスネイティブな子どもたち。メルカリで買い物をするシェアネイティブな子どもたち。親が自宅で働く姿をみて過ごしたテレワークネイティブな子どもたち。これまでの当たり前がまったく当たり前でない時代を生きる子どもたちから根本的な価値観の大変革が起こるのは必然ではないでしょうか。

「Z世代は社会にどういう影響を及ぼすと思う?」という頂いた質問へは回答に窮します。なぜなら次の社会はそもそもにZ世代がつくるものだから。

大事なことは、そういう世代にいかに早く権限を移譲できるか。Z世代にいかに活躍してもらうかを考えたいと思います。

そんなZ世代への印象をとりとめもなくしゃべったら昨日の日経新聞のコメントで使われたようです。恐縮です。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO59536570V20C20A5TCR000/