超教育協会

2020.10.02
開催報告「東京書籍は、新型コロナ禍で何をした?GIGA後に何をする?」

文科省の令和3年度概算要求に、デジタル教科書普及のための予算50億円が計上され、ザワザワしていたちょうど昨日、東京書籍川瀬さんからデジタル教科書についてお話を伺いました@超教育オンラインランチシンポ。

東京書籍はコロナ禍において、教科書準拠動画を公開したり、子どもたちにID&パスワードを配布し家庭からアクセスできる「プリントひろば」を用意するなど、学校・子どもたちの学びを教科書会社として全力でサポートしてきました。中でも評判が良かったのがタブレットドリル。手書き文字も認識できるこのドリルはどこで学んでもクラウドで学習履歴を先生と共有することができます。コロナ禍での使用率が130倍になったとのこと。それを踏まえ、このタブレットドリルとARを活用した教材はEdTech導入補助金を活用し29自治体320校に導入されることになっているそうです。

東京書籍が用意するデジタル教科書は、生徒用・教師用、各々デジタル教科書とデジタル教材の4種類。もちろん教科書・教材一体型もあります。デジタル教科書には、1つのビューワーで一括管理、拡大・リンク・学習履歴等の多彩な機能、読み上げ機能・行間調整等特別支援の機能などなど、豊かな学びを実現する特徴が満載。外国人への配慮として縦書きを横書きに自動変換することもできます。

教科書についているARマーカーにタブレットやスマホをかざすと、アインシュタインが話しかけてきたり、太陽系惑星の自転・公転の様子が動画で表示されたりもします。なお、当初はARマーカーをつけると教科書検定に通らない懸念があり、ページ自体をマーカーにした教科書ARを開発したところ、それが評判を呼び、結果としては今春から教科書にURLやQRコードを付けることが許容されたと言います。それどころか小学校英語では積極的に活用することが推奨されており、東京書籍の教科書には1冊に200個ほどのQRコードが盛り込まれています。

指導者用デジタル教科書には、例えば理科の電磁石について学ぶ際にも、複数動画コンテンツやシミュレーション教材が活用できるようになっていたり。デジタルのドリルや調べ学習教材なども先生方からの評判が良いですが、一番重宝されている機能は「試行錯誤の道具として使える」こと。例えば図形を何度も動かしながら自分で理解を深めることができます。教科書のデジタル化に反対していた方々は一体何をみて反対をしていたのかしらと思わずにはいられません。東京書籍のデジタル教科書が誇るのは、そのViewer。クラウド配信・スマホ対応により、いつでもどこでも学習が可能になっています。学校でも塾でも自宅でも通学中でも親戚の家でも。インストールする必要もなく、どの端末でも学習が同期され、学習履歴が残る。だからこそ休校になっても学びをとめることはありません。

GIGAスクールでWindowsではなくChromebookやiPadの導入が増えていて、Chromebookに関しては過半数を超える勢いだといいます。つまり「クラウド配信が前提となる」と川瀬さんは強調します。結果、端末の容量や故障を気にする必要もなく、入学から卒業まで既習学年のデジタル教科書・教材も含めてすべて活用できます。

デジタル教科書普及に向けて国が購入代金を負担する方針が示されましたが、東京書籍としては「明日からでも対応できるよう準備している」という力強いお言葉も。超教育協会としてもデジタル教科書無償化の提言を出したところです。文科省の今後の動きに期待します。