CANVAS

2020.09.11
オンラインワークショップ(4)

初めてオンラインワークショップを実施してみると、当然ではありますが「カリキュラム」、「運営」、「ファシリテーション」の3点において、対面と同じようにはいかずオンライン向けの作り変えが必要であることに気が付きます。

カリキュラムに関しては、すでに参加者にもアナウンスしていたワークショップをオンライン化する方針をとりましたが、結果としては大幅に作り変えることになりました。対面とは同じようにできないわけですから、「家から」「オンライン」参加する良さを引き出せるワークショップにしなければ質の下がった代替にしかならないからです。

ふだんのワークショップでも気をつけていることがあります。それはワークショップはきっかけの提供であるということ。子どもたちがその後どのような行動につなげていくのかが大事です。普段のワークショップは良くも悪くもオン・オフが生まれます。子どもたちからすると非日常のイベントに参加しているのです。しかし家から参加するオンラインワークショップは日常の延長。そうであればちゃんと日常の中に溶け込めるワークショップをデザインしよう。家の中にある身近なものを活用し、ワークショップ後もそのまま試行錯誤を続けられるようなワークショップです。ワークショップの前後の時間も含め設計をすることで「探求」が続くカリキュラムとしました。実際にオンラインワークショップの後にもう一度野草の散歩に出かけた子どもたちがいます。

ただし、ワークショップ前後の「遊びと学び」に親が巻き込まれるこのやり方にはメリット・デメリットがあります。それは保護者のアンケート結果に如実に現れています。メリットは、親子コミュニケーションが生まれること、デメリット
は親の負担が生じることです。

しかし、今後もCANVASでは「日常の見方が変わる」、「日常の中で探求が育まれる」、「親子コミュニケーションが生まれる」、そしてもう1点付け加えるならば、「様々な場所からの参加者がいるメリットを活かす」ことを大事にしたオンラインワークショップをつくっていきたいと思います。

次に「運営」に関してです。これはあくまでも初めてのトライアルでの感想に過ぎませんが、オンラインでは60分が限界です(対面のワークショップは120分)。60分も連続は難しい。しかし、「10秒目をつむってみる」といった一息つく時間を設けることで気持ちが切り替わります。

また、CANVAS設立時、子どものワークショップというと無料で実施される傾向があった中で、継続して実施するためにもCANVASは有料で実施することにしました。今回も同じようにオンラインだからと無料という流れができると継続性が難しくなるため、リアルなワークショップと同じ参加費5000円を頂くことにしました。そこで金額に見合う満足度を生み出さなければなりません。そのため全ての子どもたちとの双方向のコミュニケーションを設計するためには、1つのオンラインの部屋に10名以上は厳しかったです。そして1部屋にファシリテーターは2名必要です。進行をする講師役と子どもたち全員の様子を観察して適宜声をかける伴走役です。伴走役のファシリテーターが機材対応もつとめる体制で実施しました。しかし、今後は通常通り30人近くの参加者でオンラインワークショップが実施できるような設計を考えていきたいと思います。それが学校でのオンライン授業の参考にもなるのではないかと考えます。なお、余談ですが、「仮想背景の利用までインストラクションでいれて欲しい」という声がありました。オンラインワークショップを実施すると家庭の様子が丸見えです。仮想背景の導入は必須だと感じます。

最後に「ファシリテーション」です。オンラインでは、対面と違い身体的に寄り添うことができません。空間の隔たりの分、気持ちの隔たりも生まれるのも事実です。伴走役のファシリテーターが常に全員に気を配ることが大事です。そして必ず名前で呼びかけることもリアルなワークショップ以上に大事です。

その一方でオンラインという存在がファシリテーションなしで議論を活発化させる効果があることを実感しました。それは大学の授業も同様です。とにかくたくさんの質問・意見が出ます。保護者からも「初対面だと話せないのにたくさん質問できた。」、「以前なら恥ずかしがって、親に質問させていたと思うのですが、(オンライン)ワークショップでは質問や発言ができ、自信になったようで
す。」といった声が届きました。オンラインでのファシリテーションの仕方はこれから模索していきたい課題です。

オンラインワークショップ実施後に寄せられた感想としては、早くリアルなワークショップを再開して欲しいという声ももちろん多数ありましたが、その一方で、「想定していたよりもずっと楽しかった。」、「自粛があけても、オンライン参加できるプログラムがあると場所や時間で諦めていたプログラムへの参加が出来るかもと期待しています。」といった声も頂いています。

自粛期間ならではではありますが、「家族以外のコミュニケーションが少なくなっていたので気分転換になった。」「読書や家庭学習、動画配信など、一方通行のインプットが増えてしまっているので、今回のように双方向でアウトプットができる機会が増えるとありがたいです。」といった声は、今回のオンラインワークショップの狙い通りです。

CANVASは新たに「うちのなかのひみつきち」プロジェクトとして、今後も様々なオンラインワークショップを展開していきます。
例えば、ファッション。家にある洋服も着方次第で新しいファッションに早変わり。コスチュームデザインのワークショップをオンラインで行います。

そして、これから一番力をいれていくのがSTEAM。リアルな場とオンラインをいったりきたりしながら、自分でテーマを決めて創作に取り組むオンラインSTEAMラボを開始します。
お楽しみに。

 

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