超教育協会

2020.11.30
【開催報告】「学びの多様性を切り拓く挑戦~異才発掘プロジェクト ROCKET」

先週の超教育オンラインランチシンポでは、学びの多様性を切り拓く挑戦「異才発掘プロジェクトROCKET」を推進する東大中邑賢龍教授にお話を伺いました。

異才発掘と言うと「天才児を育てるのか?」という誤解を招きがちですが、「なにが異才か分からない。変わった子が潰されなければ面白いことをする。その異才を発揮するのは20−30年後かもしれない」と中邑先生。だから、「学校も家も大変そうな子」が選抜基準だといいます。

イノベーティブで創造性があり国際的な子どもを育てたいならば、「言うことを聞かない」「集団に入らない」「好きなことを追求する」子どもたちにこそそのポテンシャルがあるけれど、いまの学校はそれをなかなか許容しないと中邑先生は続けます。
なぜ「みんな仲良く元気よく」でなければならないのか。「ひとりしずかにおとなしく」でもいいではないか。

変わった子を大事に育てないと世の中は変わらないと考えスタートしたのがROCKETだといいます。

しかし、人が興味を示さないユニークな道を歩むには不安も伴います。だからこそ共感できる仲間がいる場所があればいい。その場がROCKETというわけです。

ROCKETでは、時間制限なし、教科書なし、目的なし、協同学習なしという、不登校の特権を活かした多種多様なプログラムが行われています。ペースが違う人が、みんなバラバラに勝手なことをする。それでいい。枠がない学びの場です。

おもしろそうだから飛び込んでみる。そういう子が世界に羽ばたくというのが中邑先生の考え。

それを実現するためには、人種や障害理解を超え、隣人の認知・運動・性格特性を理解する「多様性理解」は基本。

中邑先生は「子どもに年間10枚のお休み券を配ると良い」と提案しています。全国の自治体と連携し、お休み券を活用して、子どもたちは全国の自分の興味があるところを訪問する。「School of Nippon」構想です。

子どもたちが2つの学校を持つことで、学校には友だちいなくても、全国には友だちがいることに気がつく。
小さな学区でだけ生きる必要はない。なぜなら世界は広いのだから!

これからの時代に必要な力はR2D2!Reality(リアリティ)、Resilience(レジリエンス)、Development(深堀り)、Diversity(多様性)だとまとめます。そしてそれはこれまでは家庭やコミュニティで育んできた力。

CANVASも社会全体で学ぶことを大事にしてきました。こどもたちは起きてから寝るまで、遊んでいても、買い物をしていても、家族や近所の人と会話をしていても、ゲームをしてテレビをみていても、ミュージアムに行っても歌っていてもスポーツをしていても、たくさんのことを学んでいます。まるで学校の学びだけが「学び」であるかのように「学び」を矮小化するのは違うよねと。それに通ずるものを感じました。

どんな子どもも異才!

子どもたちが自分の好きなことを自分のペースで自分らしく取り組んだ先にどんな新しい世界をつくりだしていくのか楽しみですし、そういう子どもたちを受け止められる懐深い社会をつくりだしていかなければならないですね。
中邑先生、ありがとうございました!