その他
- 2020.12.22
- 文科省デジタル教科書会議
文科省デジタル教科書会議。デジタル教科書1/2規制撤廃のニュースが事前に流れていたからか200人以上の傍聴者がいた模様。1/2規制に関して「撤廃することが適当であると考えます」という文科省発言の瞬間は思わずメモってしまいました。
参考:デジタル教科書、21年4月から利用制限撤廃へ 政府方針(日本経済新聞)
「学習者用デジタル教科書の使用を各教科等の授業時数の2分の1に満たないこととする基準の見直しについて(案)」という15ページにもわたる資料が配布され、規制は緩和の方がずっと大変だということを改めて実感しました。
なんにせよ1/2規制は速やかに撤廃すべきと訴えていましたので、それに向けて丁寧に議論を取りまとめてくださり感謝申し上げます。
その後の議論はデジタル教科書導入のあり方についての議論が続きましたが、「決めなくていいことを決めている」感じがして少々悶々としました。
国として一律に決めることと、自治体や現場で決めていいことがあるはずで、例えば1/2規制は本来後者の典型だった気がするのです。しかし「1/2制限」という決めなくていいことを決めたが故にいま困っている。その一方で、デジタルを主にするかどうか、という決めなければいけないことが決まっていない。そういう状況に見えてしまうのです。
まずはデジタルを主にするか否か、の全体判断があるべきで、デジタルを主とするなら、従の取扱を検討するより、いかにして主を推進するかを考えるのがいいと思います。
といったコメントをしました。
また、せっかくなので先日の経団連×超教育のシンポでも議論になったデータの活用についてもコメントしました。
学習履歴等のデータを活用する方向に進むことで個別最適化されたより豊かな学習環境が整備できると思いますが、運用の仕方によってはまったく違う方向にいきます。すでにマイナンバーに紐つけるというニュースに基づき、誤解も含め学習データを国や学校が管理するというイメージに基づき賛否両論の議論が発生していることがそれを示しています。私はデータは学習者自身のものであり、本人の意思で利活用し管理できるような安心な環境をつくるのがよいと考えていますが、データは誰のものかといったことからしっかりと議論するとともに、誤解のない情報発信を引き続きお願いしたいと思います。
データを巡る反発は、デジタル教科書を唱えた10年前にわれわれが受けた反発ととても空気が似ています。「デジタル」という新しい波に対する漠然とした不安感から、メリットをさほど掘り下げずにまずは反対という声が多くみられました。そこから制度化まで日本はとても時間がかかりました。データでも同じことが起きかねないと危惧しています。
そのあたりはまた近々公開ディスカッションをするシンポジウムを開催予定です。