Blab

2023.05.08
ニューロダイバーシティプロジェクト

ニューロダイバーシティプロジェクトをスタートしました。第一弾として展示「みんなの脳世界」を予定しています。本日はキックオフ会議。

すでに、ムーンショット目標1&目標3、理化学研究所、NICT、東大、京大、慶応、名古屋工業大学、横浜市立大学、NTT研究所、超人スポーツ等から、最先端の知見と研究実績をお持ちのメンバーが続々と集まってきています。

ともに活動を推進してくれるメンバーを募集しています。下記は企画概要第一稿です。皆様からご意見を頂きつつ、ひとりひとりがそれぞれの場所で各々の力を発揮できる社会の構築につながるよう尽力して参ります。

(脳神経科学×人工知能×ウェルビーイングに関心があります。)

みんなの脳世界

2023.5

ニューロダイバーシティプロジェクト


「生きづらさ」を抱えている人が多くいます。どうにも人とうまく付き合えず、どうにも社会と折り合いがつかず、居場所がなく、苦しんでいます。

そこには脳の多様性が背景にあることが明らかになってきました。そして、十分に力を発揮できず、様々な場面で困難に直面してしまうと、発達「障害」とされ、個人の特性が問題かのように捉えられることが多くあります。

しかし、人々が抱える「生きづらさ」は、個人の特性と環境の相互作用によって生じるものです。世紀の大発明をした天才たちの多くは、定型とは違う脳であったとも言われています。例えば、有名な起業家であるイーロン・マスクも自身がアスペルガー症候群(*2013年のアメリカ精神医学会の診断基準DSM-5の発表以降、自閉スペクトラム症:ASDとしてまとめて表現されている)であることを公表しています。また映画監督であるスティーブン・スピルバーグ監督は、ディスレクシアと呼ばれる学習障害と診断されたことを公表しており、他にも自閉スペクトラム症も併発しているとも言われています。しかし彼らは自身の特性を活かせる環境に身を置くことで、発達障害という特性が「強み」となっています。全く同一の特性を持っている人が、環境次第でカリスマ経営者になったり、就業に困難を抱えたりすることがあります。

私たちは、個人の特性を尊重し、適切な環境を整えることで、「障害」「生きづらい」とされていたものを「強み」「生きやすい」に変えることができると考えます。

人間の脳や神経はとても多様です。これを「ニューロダイバーシティ」と呼びます。私たちは誰もが独自の特徴を持っています。ニューロダイバーシティの概念は私たちみんなに当てはまります。

環境との兼ね合いで、ある一定の閾値を超えた人が「障害」や「病気」というラベルをはられます。障害と健常、病気と健康がはっきり分かれるわけではなく、そこは地続きです。だから障害や病気と言われていなくても、先天的に現代社会に生きづらさを感じる人もいます。環境に恵まれず社会不適合を起こし、精神疾患等を発症する人もいます。ニューロダイバーシティは、発達障害の特徴を持つ人だけでなく、あらゆる人が自分らしく豊かに生きていく上で重要な考えなのです。

私たちは、ニューロダイバーシティへの理解を促し、ひとりひとりがそれぞれの場所で各々の力を発揮できる社会の構築を目指して活動していきます。

展示「みんなの脳世界」

ニューロダイバーシティ普及の第一弾として展示会を開催します。 展示を通して、個人の脳の多様性への理解を促します。そして、個人差は技術を活用することで補完や拡張が可能であり、D&Iの視点で既存の環境を再設計することで、生きづらさが解消され、力を発揮できる社会構築が可能であることを伝えます。ニューロダイバーシティの普及は、新たな創造性を引き出し、社会全体の発展に繋げることができます。

この展示では、私たちが各々生きている世界を「脳世界」と呼びます。脳世界は「個人」と「環境」の相互作用によって構成されるという考えのもと、2つのアプローチからニューロダイバーシティへの理解を促します。

1.個人アプローチ

  1. 脳(脳機能の拡張)
  2. からだ(身体・感覚の拡張)
  3. こころ(自己理解の促進)

3つの観点から、個人の特性や社会の捉え方の多様性を知ります。そして、それをテクノロジーによって拡張することにより「できない」が「できる」に変わる、もしくは固有の新しい力が発揮される可能性があることを体験します。

2.環境アプローチ

  1. 物理的なもの(人工物、メタバースの構築)
  2. 社会的制度(倫理とルールの調整)
  3. 人との関係性(他者理解の促進)

3つの観点から、環境がもたらす作用について考えます。まず、環境が変わることで「障害」が「障害」でなくなることを知ります。その上で、多様な視点でみた際にいまの当たり前とされている環境が、全ての人にとって適切なのかを再考します。そして、全ての人が生きやすい社会、力を発揮しやすい社会の実現に向け、構築すべき環境について考えるきっかけを提供します。

プロジェクトメンバー(随時更新中)

慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 Embodied Media Project

https://www.embodiedmedia.org/

東京大学大学院情報理工学系研究科 葛岡・鳴海研究室

https://www.cyber.t.u-tokyo.ac.jp/ja

名古屋工業大学大学院 Haptics Lab(田中由浩教授 / 稲盛科学研究機構)

https://www.inamori-f.or.jp/recipient/tanaka-yoshihiro/

https://haptics.web.nitech.ac.jp/

慶應義塾大学理工学部 牛場潤一研究室

https://www.brain.bio.keio.ac.jp/

国立研究開発法人理化学研究所 認知行動支援技術チーム

https://www.riken.jp/research/labs/aip/goalorient_tech/cogn_behav_assist_tech/index.html

横浜市立大学 Minds1020Lab (COI-NEXT「若者の解消し高いウェルビーングを実現するメタケアシティ共創拠点」

https://minds1020lab.yokohama/

NTT 研究所

国立研究開発法人情報通信研究機構 (NICT)

未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター (CiNet)

https://cinet.jp/japanese/

文部科学省 科学研究費助成事業 学術変革領域研究(B) デジタル身体性経済学の創成

https://embodiedecon.digital/

https://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/hojyo/1412385_00007.htm

京都大学 人と社会の未来研究院

https://ifohs.kyoto-u.ac.jp/

<主催・事務局>

B Lab

https://blaboratory.org/