Blab

2023.07.29
超校歌プロジェクト紹介

 

超校歌プロジェクトについて桑名市の皆様にお話をしました。

 

超校歌プロジェクトは、全国の小・中・高・大の校歌を集め、それらをAIに学習させ、AIが楽曲と歌詞を生成するプログラムを構築し、全国の学校が自校の校歌を再評価・編曲する機会を提供します。価値観が多様化する時代にふさわしい進化する校歌の在り方を模索してみようという取り組みです。

 

AIの研究といえば日本のトップである理化学研究所のAPI研究所、そして2020年に東京都墨田区に開学したイノベージョン人材や起業家を育成するiU大学、そしてiUをハブしながら、ありとあらゆる組織と個人が連携して、おもしろいみらいをみんなでつくるラボ「B Lab」が共同して研究を行っています。

 

校歌は日本特有の学校文化として、発展してきました。日本の初等教育・中等教育ではほとんどの学校で校歌が制定されていますが、欧米などの学校ではめったにみられません。

その起源は、明治政府の教育改革の一環として、価値観や思想の統一のために導入されたと言われていますが、その後に、当初はほとんど見られなかった学校や地域の周辺環境を表す語句がうたわれるようになり、より独自性を持たせた「郷土の歌」として性格づけられるようになったといわれています。

学校という範囲を超え、地域社会に結び付きを持つ歌として歌われるようなった日本の校歌ですが、一世紀を経て、テクノロジーが急激に発展し、また価値観も多様化した令和の時代において、こどもたちが今聴きたい歌、歌いたい校歌はなんなのか?ということを考えながら、進化する校歌のあり方をAI技術を用いてみんなで検討します。

AIが校歌を作詞・作曲するプログラムを開発したあとに、全国の学校が自校の校 歌を再評価・編曲する機会を提供することを目標にしています。今年度に入り、 桑名市の市長や教育委員会の方々から、是非連携したいとの連絡をいただきまし た。

 

AIが校歌の作詞・作曲をする、と聞くと不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。校歌作成をAIに全て任せるのかな、とか、地域の皆さまにも愛される独自性を持った校歌を作成できるのか?また、そもそもなぜAIと校歌を作成するのか?と感じている方もいらっしゃるかもしれませんので、本プロジェクトの基本的な考え方は最初にお伝えさせていただきます。

 

従来、校歌の作成は初心者にとって非常にハードルが高く、地元出身者や学校関係者にゆかりのあるプロの音楽家に依頼するケースが多かったと思います。

 

去年の末に生成系AIのChat GPTがリリースされ、これまでのやり方や慣習を見直す契機となりましたが、AI技術の進歩により、校歌の作成という一つの事例を挙げても、AIと人間が共創することで、一般の方でも音楽を作詞・作曲することが可能となりました。

 

AIをしばしば、人間が飛行機の操縦士で、AIが副操縦士と表現されることがありますが、AIが提案したものを利用し、組み立てて、人間の想いを反映させ、曲として成立させるには「人間」です。超校歌プロジェクトにおいても、「人間とAIの共創」というコンセプトのもと進めていきます。多度について一番詳しく、特別な想いをお持ちのみなさまにご参加いただき、AIプログラムを活用しながら、AIと共創しながら校歌を作成していきます。もちろん、音楽や作詞・作曲について必ずしも詳しくない方でも大丈夫です。

ですので、もし、校歌の制作をAIに全てを任せ、結果として独自性のない曲が仕上がるのではないかと心配されている方がいらっしゃれば、ご安心ください。もちろんたたき台となる素案はAIが作成しますが、あくまでも「人間とAIの共創」ですので、人間が調理をすることにより、みなさまの想いを反映させ、愛される校歌を作成することができます。

 

わずか数十年前までAIは映画の世界でしたが、今やビジネスをはじめ生活のあらゆるシーンで取り入れ、その技術進歩には目覚ましいものがあります。今まで、2045年にはAIが人間の能力や知性を超える「シンギュラリティ」が到来するといわれておりましたが、ChatGPTのリリースなどにより、既に到来に直面していると考える人もでてきました。AIに対しては様々な意見がありますが、「生成AIはこれからの時代には避けては通れない、普及していくもの」ということは共通認識として広まっているかと思います。

このような時代の潮流の中、未来を見据え、「AIに負けない」だとか、「AIに仕事が奪われる」など、AIをやみくもに恐れるのではなく、ポジティブにAIと付き合い、新しい価値を共創し、明るい未来を築いていこう!というメッセージを、超校歌を通して世の中に発信し、こどもたち向けて伝える意義は大きいと考えています。

こうした想いから、市長や教育委員会の皆様から我々のプロジェクトと連携したいとのご連絡いただいたのではないかと理解しています。

我々も、まだ研究や開発中ではありますが、恐らく日本で初となるAI校歌をみなさまと一緒に試行錯誤しながらつくりあげ、新しい時代の先駆者となり、みなさまに愛される校歌を作成することを楽しみにしておりますので、どうぞ宜しくお願いします。