超教育協会

2020.10.28
【開催報告】「日米の教育現場における、eスポーツの可能性~NASEFの取り組み~」

本日の超教育オンラインランチシンポは北米教育eスポーツ連盟(NASEF)の内藤さんにeスポーツ×教育についてお話いただきました。

NASEFが目指すのはeスポーツを学習や教育を促進するための効果的ツールとして活用する教育的eスポーツ。仲間とチームを組み、目標を定め、試行錯誤しながら取り組む。これまでもスポーツや芸術等を通じて学んできたことを、より多くの子どもたちが楽しむゲームを活用することで、幅広い層にアプローチできるのではないか?

NASEFが取り組むのは「コミュニティ形成」、「カリキュラムの開発・提供」、「クラブ・部活動の活性化・支援」の3つ。

eスポーツの教育的効果を検証してみると、当初は論理的思考や問題解決力が伸びると推測していたが、実際は社会的感情学習の部分が伸びたといいます。これは友だちとコミュニケーションをとりながら目標を達成していくソフトスキルの部分。端的にいうと「コミュニケーション能力」だといいます。

米国では既存の教科科目でeスポーツを活用するケースがでてきているようですが、例えばカリフォルニア州のELA(English Language Arts)の授業(日本でいう国語)では4年間のカリキュラムを実施しているそうです。1年目はゲームとは何かを考える。2年目はeスポーツで社会的課題を解決する方法を検討する。3年目は、それを実現するプランを構築する。そして4年目には社会の中で実践をしてフィードバックを得る。そのようなプロジェクト型学習が実施されているといいます。

また指導者に対してゲーム依存症の対策等、懸念事項への対処方法を伝えるセミナーも実施。

視聴者からは「どのようなゲームタイトルを活用しているのか?」という質問が多くあがりました。子どもたちからの人気もさることながら、チーム戦で役割分担をしながらプレイできる教育的要素があるか、暴力的表現などはないかなどの第三者機関が定める基準に基づきトーナメントのタイトルを選出しているそうです。

NASEFにはすでに米国48州900校以上、カナダ4州16クラブ、メキシコ5州6クラブ、5000名以上の生徒が加盟をしているといいます。内藤さんには、超教育協会と日本eスポーツ連合(JeSU)が連携して推進する超eスポーツ学校にもすでに参画頂いていますが、NASEFと連携しながら、我々もしっかりと学校・有識者・研究者のコミュニティを形成し、カリキュラムの開発・提供、教育的効果に関するリサーチ、クラブ活動等の活性化に尽力していきたいと思います。